晴耕雨読
少しだけ、人生の隙間ができた。 70歳になるのをきっかけに、仕事を半分にして、人にまかせ、そこが私の隙間になった。 働いて当たり前だと思っていた。働かないのは罪悪だとさえ思っていた。 休日というわけでもなく、ただ働かない1日が、急に目の前にあると、何をしていいのかわからない。 晴耕雨読、少し意味は違うかもしれないけど、晴れたら山に登り、身体を鍛え、雨が降ったら本を読んで勉強をする。そして、誰かに呼ばれたら、駆けつけて、役に立つための支度をする。 ささやかな計画がある。この年寄りの医者でも、誰かの役に立つことがあればと、心からそう思う。 図書館が新しい私の居場所になった。本の香りに包まれて、懐かしい本、珍しい本、素晴らしい本に囲まれて、勉強をしよう。美しい思索の森の中で、哲学の散歩をしよう。そして、晴れたら、新しい人たちに出会う準備をして、山に、街に出かけよう。 きっと素晴らしい出会いがあるちがいない。18の年に感じたあの突き抜けるような感動の瞬間が待っている。