金の雫
金の雫 もう老人ホームに預けた方がいいですかね、と不安そうに息子は尋ねた。 この人が動けなくなったら、私はもうやれません。どうでしょう。 私を真剣に見つめる目は、落ち着かず、揺れ動いていた。 私は、少し息を吸ってから言いました。寝たきりになるかということでしょうが、ご高齢でもあり、その可能性は大きく、しかしなったからといえ、介護の手間は実は低下します。つまり、トイレや清潔保持は、オムツになると、低下するものです。また、介護サービスを利用すれば、十分にやっていけると思います。 むしろ、その不安を持たれるより、今この瞬間を楽しんであげてください、 貴方とお母様の大切な時間は、金の雫のような時間です。 ゆっくりと味わって、二度とないこの時間を、心に刻んでください、不安なことは、私たちとケアスタッフに相談してください。 とにかく、この時間は貴重で、貴方とお母様の最後の瞬間なんですから 私は話している間、ずっとおばあちゃんの温かい手を握り、背中をさすっていた。おばあちゃんは、ゆっくりと私の手を握り返していた。 息子は、何か言葉を飲み込んで、こくりと頷いた。