本棚
本棚
テレビで建築家の家を見た。本棚が玄関横から、廊下の突き当たりにかけて10mほど続いている。見事なデザインである。斬新な設計ですねとアナウンサーが褒める。
昔、人生は本のようだとどこかで読んだ。人は誰でも、一生に一冊の人生という本を書くのだと、でも、本棚のようでもある。
長く続く本棚を、思い出の本で埋めていく。一つ一つには、楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、色々な思い出が詰まっている。時々、それを取り出しては、懐かしげに眺め、その時思ったこと、胸に誓ったことなどを、再び心に刻んで、次の本に取り掛かる。
本棚はガラガラのところもある。ぎっしり詰まっているところもある。
一生懸命、本棚を埋める作業が、人生かもしれない。虚しさに襲われ、埋める努力を諦め、呆然と海を見つめるときもあり、涙を流すだけのときもあるでしょう。でも、その一瞬一瞬が、すでに立派な本になって、本棚を埋めていっている。
幸せな人生というものがあるとすれば、ぎっしり並んだ豪華な装丁の本たちを、紅茶を飲みながら見つめて最後の時間を過ごすことかもしれないが、まだ埋められていない本棚を、悔しげに見つめて、朽ちていくのも、人生かもしれない。それでも、そんな人生も立派な人生だと思う。
たとえ並べられた本は、誰も読まないかもしれないが、誰かが、手に取って、感動してくれるかもしれない。
今日もまた、そんなことを考えながら、本棚に向っているドクタークマだった。
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