全盲の精神科医




 今日は本を読んだ。衝撃的なタイトルを書店で見かけ、手に取った。最初のページから吸い込まれるように読み進み、そのまま購入し、ドーナツ屋さんの固い椅子に座り、1時間ほどで読み上げた。

クヨクヨしている自分が情けなくなるほど、強い意志と、勇気に溢れていた。読み終わって、涙ぐんでいる自分がいた。運命の一冊と言えるかもしれない。


「目の見えない精神科医が、見えなくなってわかったこと」 福場将太


福場先生は、医学生の時の実習で、現代でも治療不可能な「網膜色素変性症」を指摘され、その後、努力して医師になったが、その後数年でほぼ見えなくなった。

しかし、それから10年以上、精神科医として働いている。目が見えないことで、仕事や生活の上で、さまざまなトラブルにもあったが、強い意思で乗り越え、沢山の人たちに支えられ、同じ、視力障害を持ちながら、医療や介護の仕事をしている仲間たちにも勇気づけられ、立派に診療を続けている。

目が見えないことで気付いた心の世界、音楽や、声、音がもたらす心の動きへの気づきなど、この本にはたくさんの素晴らしい事実が紹介されている。


目の見えないことが、かっては、医師の欠格条項であった。

しかし先生は言う。目が見えないことは、医師の欠格条項ではなく、仕事に対する情熱のないことが、欠格条項の一番なのだと。

人間に対する愛情と、深い思いやり、そして人を救うという強い情熱

仕事や体調で弱っていた自分に、容赦ない勇気と力をもらった。


私が気になった福場先生の言葉


「どんなに落ち込んでいる人も、

どんなに悪いことをした人でも、

どんなに心が冷え切っていても、

人の背中はいつもあたたかい」





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