傷つきからの成長


7月13日に京都で、がん哲学外来市民学会に参加してきました。そこでの研修の中で、気になったことをすこしづつご報告いたします。

最初はPTG(心的外傷後成長、傷つきからの成長)というお話です。

 PTSD(心的外傷後症候群)は1990年代に、アメリカの歴史上始めての敗北であるベトナム戦争から、帰還した兵士の復帰後の精神症状などから研究が始まった。その過程で、PTSD以降に、それを乗り越えた人たちや、さらに成長を遂げた人たちがいるということがわかった。

こうした成長に焦点をあてた考えが、PTG(心的外傷後成長)と呼ばれる。

研究を行ったテデスキらは、心的外傷(ストレス)の後に、「何かが変わった」、他社との関係が変わった」「生き方の哲学が変わった」ということに着目をして分析を行った。

 まったく心的外傷を受けずに生きていくことは困難かもしれない。事故や災害、事件など、人はなんらかのストレスを受けた後に、心が回復していく強さを持っている。このことを回復可能性(レジリエンス)という。

がん患者さんも、がんと診断されて、その事実を受容できるまでに、数週間程度の、長い時間がかかるである。研究に寄れば、他者との関係観の成長、自分には他者が必要なのだという変化、弱さがあるからこそ必要なときには他者を頼っていいのだという感覚がもてるようになる。

そして新たな可能性について気づき、他者および人生に対する感謝がもてるようになると、文献には書かれてある。

大切な人を失ったり、強いストレスにさらされた後について考えても、時間がたつと、そのことがあったゆえに、今の自分があるという感謝さえうまれることは、自分の経験からも納得できる。


傷つきから成長していく過程の中で、いっしょに静かにお話をしたり、お茶を飲んで時間を過ごすことのお役にたてれば、それこそが、ガン哲学外来の真骨頂ではないかと考えています。(宮崎)



コメント

このブログの人気の投稿

第1回 がん哲学外来 ひた鮎カフェの告知

空っぽの器