最後の仕事

 



三隈川の夕焼けを見ながら

いつものことだけど、私の周りの事象はどんどん変わっている。私は変わらないのに

先日、訪問した患者さんは、私を見るなり、早く死なせてくれと言った。

どうしてそんなふうに考えるんですかと聞くと、もう生きていてもやることもない、自分には何もできないからだと言う。

そんなことありませんよ、まだあなたには大事な仕事が残ってますよ、今の貴方の気持ち、これまで生きてきた人生の話、子供さんたちに放してあげるという大切な仕事が、と言ってみた。

少しだけ、顔が明るくなった。黙っていた男性は、何か考え込んでいるようだった。

後で、娘さんが帰り際に、あんな明るい顔を見たのは久しぶりだと

その人は数日後に旅立っていった。

ご家族とお話ができたかどうかは確認できなかったが、たぶん、しんみりとお話しをしたのだろう、家族は感謝してくれていた。

最後にどんなお話しをしたのだろう?


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