バラの花束





10年間、訪問診療を続けていた患者さんが、突然、亡くなった。そんなに長い時間をご一緒に過ごしたかと思うと、月並みな言葉かもしれないが、感無量である。

素敵な時間でした。花々に囲まれて、鳥が窓辺に訪れる、季節を肌で感じられる素晴らしいご自宅でした。

ご本人は、何度か、危険なこともありましたが、そこに行けば、まだあの時間が、いつもと変わりなく流れているような不思議な気持ちがします。


看護師と児島医師がお参りに行ってくれたようではあるが、なんだか気になっていたところに、ご家族が挨拶に来られた。

ちょうど、診療所前の盛りのバラの花を、家内に頼んで、切ってもらい、御仏前に手向けてくださいと手渡しました。

俳句や文章を見せてもらったり、笑顔が素敵な知的な女性でした。難病を患い、山深い里で、懸命に介護されていたご家族にも頭が下がります。

天国にバラの香りが届けば良いのですが、、、


私たちの時間は短くて、長い。楽しく嬉しい時間も、あっという間に過ぎ去り、一度閉じた瞼は2度と開かない。

出会った瞬間に別れが約束されているんですね。


ならばこの素晴らしい瞬間を、出来るだけ、呼吸をするように味わって、できる限り、笑顔で生き続けましょう。

たくさんの素敵な時間を、ありがとうございました、心からのご冥福をおいのりします。



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